世界的に高い評価を受けているイタリアのレッジョ・エミリア市の幼児学校では、光の効果を取り入れた幼児教育実践を展開している。日本では光の効果を取り入れた幼児教育実践はまだ少ない。ここでは幼児教育において重要な教材である積み木にLEDライトを配置し、幼児の芸術と科学(アート×サイエンス)分野のセンスを育成できる構成遊びのプロジェクト保育(テーマ保育)の試案を作成することで、保育現場へのこの実践の普及を意図している。
そこで、私たちは「光と影の美」をテーマとした子どもたちの遊び環境の創造に関する研究に取り組み、このプロジェクト保育を計画した。4歳から10歳までの子どもたちが、光源にLEDライト、反射材と遮蔽(しゃへい)材に積み木(ブナの白木、形状7種類)を使って造形しながら、「あかりの良否は光源・反射材・遮蔽材のバランスによる」との知見を体験的に学ぶ、プロジェクト保育の試案「紙飛行機のこーきが見た銀河鉄道の夜」を実践した。その目的は、幼児が光と影の美を感じて、LEDライト(赤・青・黄・緑・紫の5色)を使用することで、光と影の関係性や色の重なりについて自発的に体験しながら気付き学んでいくことである。
インスタレーション「紙飛行機の こーきが見た 銀河鉄道の夜」
発想には、短文の題材童話「あかりのありか~こーきとぎんがてつどうのよる~」(きみきみよ著、宮澤賢治原著)を用いた。主人公の紙飛行機のこーきが銀河鉄道の夜を巡り、そこで見た夜景を造形化した、あかりのインスタレーションを、積み木と木箱で制作した。
題材童話「あかりのありか~こーきのぎんがてつどうのよる~」【拡大可】
2022年11月に開催された「KSU VISION DAY」に、積み木による子どもの遊び環境の創造に関わる指導者を目指す九州産業大学人間科学部子ども教育学科の学生が、宮澤賢治原著の「銀河鉄道の夜」を題材とした「積み木と木箱であかりのインスタレーション~童話を題材とした読書感想光~」を実演し、来場者の好評を得た。