一坪の茶室4「斜堂(SHADOW)」(2017)

林野庁 新たな木材需要創出総合プロジェクト事業 参画

日本産業技術教育学会 発明・工夫作品コンテスト 特別賞 受賞

九州産業大学 工学部長賞 受賞

見渡せば 花も紅葉も なかりけり 浦の苫屋の 秋の夕暮れ

この和歌は、藤原定家(ふじわらのていか/1162-1241)が新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)に寄せたもので、現代語訳は「見渡してみると、美しい花も紅葉もここにはないなあ。傾いて朽ちた海辺の苫ぶきの小屋の秋の夕暮れなことよ」です。また千利休(せんのりきゅう/1522-1591)が侘び茶の精神を象徴すると好んだ和歌と伝えられます。

天井は和歌の文字が切り取られています。天井の影(そこを通過する光)により和歌が床面に映り込み、一坪の茶室4「斜堂(SHADOW)」の内部空間を演出します。

住居・インテリア設計学科2年生の私たちは、一坪の茶室4「斜堂(SHADOW)」を設計し、「たてものがかりワークショップ」として、科目「CAD実習」・科目「製図実習」を履修する1年生や、体験入学の高校生と製作しました。

ところで両科目では、多くの履修者が課題を「模様」として模写する傾向があり、正しい図面の読み方の理解や、部材相互の空間的位置関係の把握が不充分でした。ワークショップでは、設計した茶室の実現を通して、図面の正しい読み方を履修者に理解させました。

どの部材とどの部材が、どう接合されているか。図面のこの線は、実物のどこにあたるのか。「たてものがかりワークショップ」で、製作中の実物と照合しながら、図面の読み方を正しく理解します。

実物大でCADの図面を印刷し、これを型紙にして、1枚のサブロク板(3尺×6尺、一般的には910
mm×1,820mmのサイズの板)から、正確な部材を無駄なく加工することができました。

CADによる詳細な寸法測定、図面の型紙としての活用などから、部材を正確かつ材料の無駄がないように加工しました。これらにより施工難度が減り、私たちは斜めの建築物の茶室を、高い精度で組み立てることに成功しました。

ものづくり

一坪の茶室4「斜堂(SHADOW)」は名前どおり、斜めの建築物です。施工難度を軽減するため、まず上下を逆にして、梁と柱を水平・垂直の状態を保持して組み立てました。その後165°回転させて土台に固定しました。

斜めの建築物は部材の寸法が複雑でした。CADで詳細な寸法を測り、正確に部材を加工し、高い精度で組み立てました。上下を反転させ、土台に固定する作業もぴったり成功しました。

ワークショップ参加者の声

意匠について
・茶室に興味があったので、それを作
 れることは興味深かった。
・自分たちが考えた設計案を形にでき
 るところが魅力的だった。
・影と光で文字ができ、意味のある短
 歌になることがおもしろい。
・建築物全体が傾き、苫屋(粗末な建
 築物)に見えることがおもしろい。

構造について
・座学の授業だけでは実感(体感)で
 きない強度について理解できた。
・茶室の違い棚で、構造を安定させる
 トラスに作る工夫を知った。
・建築物が傾く側に土台を長くするこ
 とで倒壊を防ぐ工夫を知った。
・円窓の1/4円が変位を防ぐ方杖の
 役割を果たす工夫を知った。

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