一坪の茶室4「影房詩(かげぼうし)」

日本建築学会学生グランプリ 出展(右近久了・岡 祥大)

ものづくり

雅(みやび)というテーマから、平安時代の貴族の華やかな文化である和歌を茶室に取り入れた。和歌は屋根に彫り込み、通過する光により畳床に投影される。

見渡せば
花も紅葉もなかりけり
浦のとまやの秋の夕ぐれ


上の和歌は、藤原定家(ふじわらのていか)が新古今和歌集に寄せたもので、解釈・現代語訳は「見渡してみると、美しい花も紅葉もここにはないなあ。海辺の苫ぶきの粗末な小屋あたりの秋の夕暮れなことよ」である。

この和歌は、千利休の侘び茶の精神を象徴的に示すとされる。侘びとは余分なものをそぎ落とした中にある美である。侘びの精神を語る千利休の有名な話に、朝顔を見に来た客に対して、庭の朝顔を全て切り、茶室に一本だけ飾って見せたというものがある。周りに雅やかなものをあえて置かないことにより、一つのものを際立せる。

茶室の意匠は、和歌の苫屋から、粗末で今にも倒れそうな小屋をイメージした。片持梁系ラーメン構造を基本とし、壁を傾けることによりそれを表現し、影も投影しやすい。傾けることで悪くなったバランスを保つため、基礎に長い木材を使用し、壁の裏側に支えを設けることで茶室が倒れることを防ぐ。また屋根が自重によって変形することを防ぐため、ワイヤーで引張る。

コンタクト

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