Façade ~レンタル衣裳店の外壁改修~(施工篇)[2018]

日本産業技術教育学会 発明・工夫作品コンテスト 出展作品

[レンタル衣裳店の外壁 改修前のファサード・改修後のファサード]

1.作品製作の契機と目的

私たちは、木材を使ったものづくりを通して、学生が考えたこと、作ったもので地域の役に立つ活動を実践しています。昨夏、精華女子短期大学(福岡市博多区南八幡町)正門前にあるレンタル衣裳店から外壁の改修を依頼されました。同秋、その設計に取り組み、総数38点の意匠から依頼者が選択した改修実施案を、今春、施工したものが本作品です。

ファサードとは、街並みの景観で特に印象を残す建物正面の意匠のことで、英語のfaceと同源のフランス語のfaçadeに由来します。レンタル衣裳店の主な顧客である女子学生に好印象を与える外壁に改修することが製作の目的であるため、清らかさをイメージしてアクリル板による緑と白の水玉を配置し、女子学生らしさを表現して視線を集める意匠にしました。一方、空き家を借りてレンタル衣裳店に転用しており、復旧可能な工法とすることが施工条件であるため、ツーバイ材を縦に等間隔で貼りました。また木材の着色防腐剤であるキシラデコールを塗り、落ち着く雰囲気の外壁にしました。

[施工区画計画図]

2.作品製作の過程と工夫


当初の作業計画は、資材を運び込み現場で材料を加工し、既存の店舗外壁に合わせて施工を行うものでした。しかし現場での作業スペースの確保が難しく、また作業の進捗が天候により左右される恐れがあることが問題点でした。そのため大学内でできる限り作業を行い、現場での作業を最小限に抑えることにしました。大学内では材料の切断加工、着色防腐剤による塗装を行い、部材の組立と仮置までを行いました。 外壁改修の部材加工、すなわち切断・塗装・組立・仮組を所属大学内の教室や玄関ポーチを工場替わりにして行いました。

[外壁改修の部材加工 切断・塗装・組立・仮置]

2-1.外壁改修の部材加工

私たちは、事前に店舗外壁の寸法を採寸して図面を作成し、部材の割付等を検討しました。そして木材を数量一覧表に記載された長さと本数に切断しました。部材加工では、材料の表面に加工の基準となる線などを描く罫書(けがき)の際に、どのように部材を切断すれば、できるだけ残材を減らせるか綿密に計画しました。限りある予算から無駄な支出をしない大切な工夫です。切断ではマイターボックスを使いその精度を上げました。さらに何の部材か間違えないように木口に印を付けました。

次に切断した木材に防腐剤であるキシラデコールを、刷毛を使って塗布しました。防腐剤が入った缶を、棒でよくかき混ぜてから塗布しました。防腐材を塗布する際は手袋をし、また作業中は換気を十分行いました。一度塗布したら十分に乾燥させ、それを3度繰り返しました。塗り重ねの間の乾燥時間は12時間以上でした。木材が濡れていたら十分乾燥させてから塗布しました。雨天時や湿度が高い日の塗布は、塗料の吸込みが悪くなるため行いませんでした。着色防腐剤を取り扱う作業では、均一にむらなく部材に塗装することや、気温・湿度・風速などによる乾燥時間の調整の難しさを知りました。着色防腐剤が衣服や皮膚に付かないように注意するとともに、臭気対策としてマスクの着用や換気効率のよい作業場所を選ぶことの重要性を理解しました。

さらに防腐剤を塗布した木材を、施工図に従って組み立てました。使用するビスはステンレスビス50mmを使用し、木材に1か所あたりビス2本を用いて取り付けました。ビスは正面からビス頭が見えないように下地側から打ち込みました。木材の下地への取り付けは、準備したサイコロを挟みながら行い、木材の間隔に注意しました。組み立てでもビスに垂直に力を加えるよう心掛けました。鋸で木材を切断する作業や部材を電動ドリルでビス留めする作業は、騒音を発生させます。大学内での作業であることに配慮し、授業が行われる日中は罫書を、切断や組み立ては放課後に行いました。

[外壁改修の部材取付 調整・設置・固定・仕上]

2-2.外壁改修の部材取付

その後、部材を現場へ運び込んで調整を行い、店舗外壁へ部材を設置しました。最後にアクリルパネルの装飾を固定するなど仕上を行いました。一連の施工篇で行う一連の作業には、大変危険な作業が含まれていました。作業を行う際は十分注意をして、落ち着いて行うようにしました。また作品は、依頼者であるレンタル衣裳店のfaçade(face)、すなわち顔になる部分であり、依頼者は仕上がりにも期待されていましたので、軽い気持ちで作業はできませんでした。

現場では店舗の外壁に墨出しを行い、墨に合わせて部材を取り付けました。 取り付けに使用するビスは、コンクリートビス60mmを使用しました。またビスを打つ部分には、防水のためウレタンシーリングを充填しました。現場前面は歩道のため、歩行者等には十分注意しなければなりませんでした。そのため歩行者等の通行の妨げにならないように、部材を整理して置きました。最後に、アクリルパネルを図面に記載した位置に貼り付けて仕上げました。貼り付けには接着剤を使用し、硬化するまでは両面テープで仮固定しました。

以上のことは、現場での部材取付を効率よく進めるための工夫であり、私たちはここから工程管理の大切さを学びましたが、これらが仕上に至る現場での部材取付の際の精度に影響することも学びました。例えば、木口の年輪を見ることで木表(丸太を板目に製材して外側に近い方)、木裏(丸太の中心に近い方)の判別ができます。また節の中心が寄っている方が、木であった時に上にあったことが分かります。木の上下、外側か中心かを統一して部材の組立を行ったことで、本作品の品質が格段に向上したことを実践的に学びました。

[外壁改修のオリジナルデザイン]

Façade ~レンタル衣裳店の外壁改修~(設計篇)[2017]で提案された38点の意匠から、依頼者が選択したものです。デザインの良否のみならず工法や工期、そしてコストも検討して本案を施工することに決定しました。

[部材数量一覧表]

[A区画施工図]

[B区画施工図]

[C区画施工図]

[D区画施工図]

[E区画施工図]

[F区画施工図]

[G区画施工図]

[H区画施工図]

[I区画施工図]


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