一坪の茶室2「EGG庵」~型紙小建築の実験的製作~

日本産業技術教育学会 発明・工夫作品コンテスト奨励賞 受賞

7月26日と9月27日、国立青少年教育振興機構子ども夢基金体験事業として、一坪の茶室2「EGG庵」の製作ワークショップを、中学生・高校生を対象に実践しました。


左:日本産業技術教育学会第57回全国大会(熊本) 学会屋台実演・出展作品
   一坪の茶室1「ダ・ヴィンチ亭」 (一連の活動)

型紙小建築とは、設計図に基づいて実物大の型紙を作成し、その線に合わせて部材の形を切り抜き、組み立てることによって建てられる小さな建築物のことです。本作品では、床面積が1坪大(約3.3 ㎡)の茶室の実施設計を行うとともに、型紙小建築がどのような条件下で有効性を発揮するか、実験的製作活動を通して考察を重ねました。

具体的な内容としては、まず縮尺1/5 で模型を作りました。厚さ1mm のスチレンボードを、ベニヤ板の1/5 の寸法である横182mm、縦364mm に切断しました。そこからできるだけ無駄が生じないように、部材のかたどりを検討しました。次に横909mm、縦1,818 mm(サブロクバン)、厚さ5mm のベニヤ板に型紙を当てて部材の形を描く、かたどりをしました。それを電動糸鋸で切り抜き、切断面には紙やすりをかけ部材と部材を接合するスリットを作り、これらの部材を組み立てることによって小さな建築物を建てることができました。

本作品の製作作業を通して、設計図と型紙をインターネットからダウンロードして印刷し(大判プリンタがあることが望ましい)、ほとんどのホームセンターで購入できる最も一般的なサブロクバン、厚さ5mm のベニヤ板を使い、工具はのこぎり(あるいはベニヤ板用カッター)のみで、建築物を建てることができる(釘やビス、金具類は不要である)ことが分かりました。

また型紙小建築の部材は全て長さ1m以内のベニヤ板であるため、建築物の解体時にはコンパクトにまとめることができ、部材の保管・運搬が容易であることが分かりました。さらに厚さ5mm のベニヤ板を使用するため、のこぎりでほぼ自由自在に加工でき、例えば本作品で取り扱った、卵形のような曲線・曲面を多用する建築物を建てることにも適していることが分かりました。

「EGG庵」の意匠
形にはエネルギーがあります。卵の形は、落ち着きや安らぎ、そして可能性を象徴しています。この卵の形の茶室に、私たちは新しい「和」の可能性を見つけました。茶室の内部は円形です。この中では人が自然と輪になり、人と人とが和める空間を作ります。

「EGG庵」の構造
柱は湾曲するベニヤ板16枚による円周上の8か所に配置された重柱です。全て茶室中心に向かうスプライン曲線(与えられた複数の制御点を通る滑らかな曲線)にすることで、全体として卵の輪郭を形成します。さらに柱の外側から7段の円弧状の違い棚をとりつけて、柱の室外への傾倒を相殺されます。外壁には和紙や竹枝を貼ります。


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